隅田宿の面影をめぐって

 

こんにちは。四代目です。

 

 

浅草の東側を流れる大河といえば、「隅田川」。

 

この隅田川といえば皆さんは何が思い浮かぶでしょうか?

 

花火大会?

お花見?

早慶レガッタ?

 

 

いろいろあるとは思いますが、今回はこの隅田川にまつわる歴史のお話です。

 

 

 

 

 

 

 

ということで、やってきたのは墨田区の「すみだ郷土文化資料館」。言問橋を渡ってすぐ左側にありますので、浅草からでも充分徒歩圏内。

 

 

 

 

こちらで「水神社の世界」という企画展(11/25に終了)が行われていたのですが、まずはこちらを見学!

 

「水神社」というのは現在の隅田川神社のこと。

白鬚橋の北、首都高と団地に挟まれた場所にある小さな神社ですが、この企画展はその水神社と源頼朝をめぐる様々な伝説に関する展示物がメインとなっています。

 

 

浅草近辺の歴史というと江戸時代以降のことがよく取り上げられますが、浅草寺自体は都内でも最古の寺院ですし、中世以前は東海道が通っていたとされる地域ですので、実はかなり古い歴史を有する地域。水神社のある辺りは武蔵と下総の国境で、東海道の渡船場もあったので交通の要として宿場町が置かれていたようです。

 

現在のこの地域に宿場町としての面影ってほぼないような。。。

 

しかし、神社に行けば何か見つかるかも!

 

 

 

ということで郷土文化資料館をあとにし、一路隅田川神社へ!

 

 

 

 

 

団地を背景にした隅田川神社の一の鳥居。

 

墨堤通り沿いにドーンと聳えていますが、やはり団地の高さに埋没してあまり目立たないです。。。

 

 

 

 

 

鳥居のわきには「水神社」、「船霊社」の石碑。

 

「船霊」とは船乗りの間で信仰されている神様だそうで、水神社が河川関係者からの崇敬を集めていた証ですね。

 

 

ちなみに、現在の隅田川神社は戦後の再開発に伴い移転していて、元々はもう少し北側にあったそうです。

 

 

鳥居をくぐり、団地も超えてまっすぐ進んでいくと都立白鬚東公園に出ます。きれいに整備された公園なのですが当然、隅田宿を思わせるものは何もない。。。と思いきや!

 

 

 

 

 

 

かろうじてありました!「隅田宿跡」の看板!

 

こんなことが書かれています。(以下看板からの引用)

 

隅田宿(すだのしゅく)跡あと

現在地 墨田区堤通二丁目二番 都立白鬚公園

当地は古東海道の渡河(とか)地で、平安時代の末頃には隅田宿が成立していたといわれています。
隅田宿は、治承(じしょう)四年(一一八〇)に源頼朝が布陣したと伝わる宿(しゅく)で(『吾妻鏡(あづまかがみ)』)、元来は江戸氏など中世武士団の 軍事拠点であったと考えられています。遅くとも南北時代までには人と物が集まる都市的な場が形成されたようで、歌人藤原光俊(ふじわらみつとし)が詠んだ という十三世紀中期の歌には、多くの舟が停泊してにぎわう様子が描かれています。(『夫木和歌抄』(ふぼくわかしょう))。
また、室町時代成立の『義経記(ぎけいき)』には、「墨田の渡り両所」と見え、墨田宿が対岸の石浜付近と一体性を有する宿であったらしいこともうかがえ ます。

対岸との関係については今なお不明な点を多く残しますが、隅田川東岸部における宿の広がりについては、江戸時代の地誌に載る一部の伝承と絵地図が参考に なります。それらを分析した研究成果によれば、所在範囲はおよそ図示したように想定されます。

なお、人買にさらわれた梅若丸(うめわかまる)とその母の悲話を伝えた梅若伝説、そして罪業(ざいごう)深い老母と娘の悲劇を伝えた石枕の伝説(一ツ家 伝説)など、隅田川流域にはいくつか著名な伝説が残されました。この付近に成立した隅田宿は、そうした伝説を育む場でもあったようです。

平成二十五年三月

墨田区教育委員会

 

↑の文にある図示している隅田宿の推定範囲というのが、ほぼ堤通二丁目全体。南は桜堤中学から北は水神大橋袂に至るまでの範囲です。かなりの広範囲!隅田宿はかつて「隅田千軒宿」といわれるほど繁栄していた宿なのですが、江戸時代になると姿を消してしまいます。奥州街道が整備され、新たに千住に宿場が設けられたからです。

 

実はこの千住宿、隅田宿から人・モノを異動させて設けられたようなのです。江戸四宿の一つとして大いに賑わった千住宿、その元が中世の隅田宿にあるとは驚きでした。

 

さてさて、この看板のすぐ目の前が隅田川神社になるのですが、この続きはまた別の投稿で。(つづく)

 

/四代目・カズキ

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